Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「人生教習所」垣根涼介(中公文庫)

 東大に入学するも、人生の目標を見失って休学中の浅川太郎。
 両親のすすめで小笠原で開かれる「人生教習所」に応募する。
 そこに集まったのは、元暴力団員、人生に行き詰まった女性フリーライター、退職後の老人など・・・

 文庫は、上下巻からなる作品です。
 楽しくて、どんどん読み進んでしまいます。

 そういえば、若い頃には、どこに進んでいるのかがわかりませんでした。
 漠然とした不安に押しつぶされそうな時期もありました。
 あれこれと行き詰まりを感じたことも、多々ありました。
 いまも、本当はもっと行く末を案じたほうがいいのかもしれません。
 でも、考えないことにしました。
 嫌なことに目を瞑る力も、経験から得た技能なのかもしれません。

 主人公は、頭はいいんですね。
 でもどうするのかは見えない。
 頭がいいがために、悩んでいるような節もあります。
 そこへ「ぼくちゃんに世話を焼く母親」登場!
 でも、いい選択します。
 かわいい子には旅をさせるんですね。

 いろんな世代、いろんな業種の人。
 いろんな考え方の人。
 話を聞いて、しばらく一緒に過ごすことができたなら、一生の糧になるでしょう。
 実際にこんなセミナーがあって、参加できたら楽しいでしょう。

 垣根涼介作品ですから、リアル路線です。
 作品では、さほど大きな事件は起こりません。
 実に淡々とカリキュラムが進みます。
 読者も「教習所」に参加するような感じです。
 つまり、教習所に特別な仕掛けも、オチもありません。
 至極真っ当。
 ここがいいところであり、ちょっと物足りなくもあり。

 でも、その真っ当な講座で語られる内容が、いい感じ。
 小笠原の歴史や名所にも触れられます。

 オススメ!


 小笠原。
 行ってみたくなりました。
 職場のおともだちが、もうすぐ行くようです。
 いいなぁ。