Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

読書記

「みんなのうた」重松清(角川文庫)

東京で東大を目指して三浪した末に、夢破れて故郷に戻ったレイコは・・・ 重松清作品です。 想定して描かれている故郷は、おそらく彼の故郷なのでしょう。 作中に登場する「故郷」は「鶴山市」。 レイコの家は、その中心部からさらに離れた、となり町。 実際…

「神去なあなあ日常」三浦しをん(徳間文庫)

高校を出たらフリーターをしようと思っていた。 しかし、卒業式が終わったとたん、担任から就職が決まったと告げられた。 送り込まれた先は三重県の山間地。 何も知らないズブの素人が、三重県の山間地に送り込まれて、林業に携わるというお話です。 内容は…

「おジャ魔女どれみ16」東堂いづみ(講談社ラノベ文庫)

春風どれみも16歳に。 高校生になったとたん、復活したMAHO堂でマジョリカたちと再開するのだが。 あの「おジャ魔女どれみ」の続編です。 シリーズを全部観ていると、とても楽しめます。 観ていないと・・・おそらく、さっぱりな内容です。 というのも…

「人生教習所」垣根涼介(中公文庫)

東大に入学するも、人生の目標を見失って休学中の浅川太郎。 両親のすすめで小笠原で開かれる「人生教習所」に応募する。 そこに集まったのは、元暴力団員、人生に行き詰まった女性フリーライター、退職後の老人など・・・ 文庫は、上下巻からなる作品です。…

「夏の日のぶたぶた」矢崎存美(徳間文庫)

中学生の菅野一郎は、夏休み中に父親のコンビニで働くことに。 商品の配達先として指定されたのは、近所でも有名な幽霊屋敷だった。 そこにいたのはピンクのブタのぬいぐるみ、ぶたぶた。 ジュブナイルですね。 ぶたぶたさんの立ち位置は、シリーズのお約束…

「日本の地名 おもしろ探訪記」今尾恵介(ちくま文庫)

地形図から拾い集めた珍地名や難読地名。 その由来と当地を尋ねる旅行記。 ぼくも、国土地理院発行の地形図が大好きです。 ネット上で地形図を含めて様々な地図が閲覧できるようになって、購入することはなくなりました。 それでも、今もメインで利用してい…

「マザコン」角田光代(集英社文庫)

マザコンと言われた。心外だった。 母親離れができていないのは、妻のほうだと思うのだが。 全部で8篇からなる短篇集。 誰にでも母親はいます。 存命であるか、あるいは付き合いがあるかは別ですが。 多くの場合、その影響は計り知れないほど大きいものです…

「ひなた弁当」山本甲士(中公文庫)

良郎は中堅デベロッパーの営業職。 苦境に立たされる会社にあって、策にはまり、まんまとリストラされてしまう。 リストラされた元中年サラリーマンが、路上販売のお弁当屋さんを始める物語です。 前向きで元気になれるストーリー。 もちろんハッピーエンド…

「空ちゃんの幸せな食卓」大沼紀子(ポプラ文庫)

血の繋がらない母と姉妹。 父親は出て行ったきり。 なんだかちょっと複雑な、姉妹と継母の物語。 こちらは表題作の短編。 他に中編と長編が1編ずつ同梱されています。 どれも、ちょっと複雑な家族構成。 それを乗り越える人間模様。 なんだか静かな作品です…

「県庁おもてなし課」有川浩(角川文庫)

掛水は、高知県の観光担当部局、おもてなし課のホープ。 地元出身の作家に企画の協力依頼を求めるが、厳しい反応が帰ってきて・・・。 映画にもなりましたね。 「図書館戦争」と同時に上映されていて、いまや有川浩は日本を代表する作家さんですね。 お役所…

「甘い罠」江國香織 他(文春文庫)

関谷くんとは、二十数年前の大学を卒業する直前、半年ほどつきあっていた。 小説家の私が今も「好き」なのは、編集者となった関谷くんで・・・。 8人の女性作家が認めた、8篇の短編小説。 アンソロジーです。 現代を代表する、人気の女性作家ばかり。 テー…

「アイドル新党」原宏一(徳間文庫)

春乃マキは、崖っぷちのグラビアアイドル。 事務所の方針で、政界に打って出るのだが。 原宏一さん、勢いづいていますね。 いろんな作品が、一斉に平積みにされています。 もとは売れっ子アイドル。 でも今は崖っぷち。 ということは、そこそこ熟れた年齢。 …

「空白の実験室 渡辺淳一メディカル・セレクションⅡ」渡辺淳一(中公文庫)

教授と助教授がたてつづけに白血病に罹患し、この世を去った。 大学病院研究室の人事に様々な思惑が飛び交うが。 Ⅰと比べると、ちょっと時代が進んだのでしょうか。 比較的読みやすくなります。 戦後色濃い時代背景から、現代に通じる世界に舞台を移していま…

「白き手の哀しみ 渡辺淳一メディカル・セレクションⅠ」渡辺淳一(中公文庫)

上品な紳士の、就職間もない看護婦への最期の頼みとは。 渡辺淳一の初期の短編作品集です。 全部で7篇が収録されています。 渡辺淳一作品ですから、まあ、性愛に関するものなんですね。 舞台は昭和40年台初期となっています。 病院は木造。 還暦は老人の…

「ヤッさん」原宏一(双葉文庫)

銀座でホームレスに堕ちたタカオ。 ある日、突然男に起こされ、ついてくるように命じられた。 その男は、食の達人、ヤッさんだった。 若いホームレスが中年ホームレスに拾われ、更正するまでの物語です。 早いテンポと魅力的なキャラが、物語をどんどん進め…

「コンビニたそがれ堂 空の童話」村山早紀(ポプラ文庫ピュアフル)

大事な探しもの、心に願ったものが手に入る不思議なコンビニ「たそがれ堂」。 風早の街の古い書店の店員、斉藤さんは、本屋お客様に対する愛情がいっぱい。 お客様もオーナーと斉藤さんには、絶対の信頼を寄せています。 でも、世の中の流れとオーナーの年齢…

「珈琲屋の人々」池永陽(双葉文庫)

バブル期の地上げにも耐えた、都内に残る小さな商店街。 商店街で珈琲店を営む行介は、殺人の罪で服役したことがあったのだが。 ハートウォーミングな連作短編集。 7篇からなります。 主人公行介は、父親から受け継いだ珈琲屋のマスター。 実直で寡黙。 少…

「お母さんという女」益田ミリ(光文社)

よく笑い、周りの人を明るくする。 お母さんってそんな人。 益田ミリのコミックエッセイです。 益田ミリといえば先週から「すーちゃん」の映画が公開されています。 もうすっかりビッグネーム。 「47都道府県 女ひとりでいってみよう」をネットでポチポチと…

「まほろ駅前番外地」三浦しをん(文春文庫)

東京西部の都市、まほろ市で便利屋を営む多田と、居候の行天。 結婚を控えた女性の部屋の掃除を引き受けたのだが。 「まほろ駅前多田便利軒」の続編です。 「まほろ駅前多田便利軒」は、三浦しをんの直木賞受賞作にして、代表作。 なんだか生真面目な多田と…

「ぶたぶたカフェ」矢崎存美(光文社文庫)

ずっと優等生として過ごしてきた泰隆は、ストレスから不眠症にかかり、仕事をやめてしまう。 バーでアルバイトをして、生計を立てることにしたが、昼はカフェとして営業している店だった。 「ぶたぶた」シリーズです。 娘にせがまれて購入しましたが、小学生…

「フリーター、家を買う。」有川浩(幻冬舎文庫)

大学を出て就職するも、新人研修が終わった3か月目で退職した誠治。 自堕落なフリーターを続けるものの、母親が発病する。 題名は「フリーター、家を買う。」ですが、家を買うのはフリーターではありません。 家を買うのは、元フリーター。 だらけたすねか…

「ロング・ロング・アゴー」重松清(新潮文庫)

人口5万人の地方都市。 駅前の地元老舗百貨店の娘と私は同じクラスになったのだが。 6篇を収めた短篇集です。 どこを切っても重松印。 頭の先から尻尾の先まで、ずっしりあんこが詰まったたい焼きのような感じです。 そう。 ちょっと重いんですね。 「うま…

「張り込み姫」垣根涼介(新潮文庫)

写真週刊誌の編集者「姫」は、今日も芸能人の張り込みをすべくラブホテル前で待機していた。 しかし出版社は写真週刊誌の廃刊を決定し・・・。 「君たちに明日はない」と「借金取りの王子」に続く、シリーズ第3弾。 テレビドラマにもなり、人気があるこのシ…

「塩の街」有川浩(角川文庫)

巨大な塩の柱が屹立する東京。 人類は体が塩の結晶になる現象により、社会システムを失いかけていた。 有川浩のデビュー作。 荒削りながら、ぐいぐいと引きつける力はさすがです。 キャラはみずみずしく活躍しています。 でも死にかけている街を描いているか…

「しあわせのパン」三島有紀子(ポプラ文庫)

北海道の田舎町。 若い夫婦が営むカフェに出入りするのは・・・。 ほっこり。 ふんわり。 なごみ系の作品です。 映画版もありますね、この作品。 で、書籍版は原作かというとそうではありません。 では、ノベライズなのかといえば、それも違います。 なんと…

「海の底」有川浩(角川文庫)

基地でのさくらまつりの開催中、海中から謎の巨大甲殻類が多数上陸。 逃げ惑う子どもたちは、自衛隊員の機転で、潜水艦に籠城したのだったが。 この方の作品、面白いですね。 なんというか、リアル。 映像が思い浮かぶような、展開です。 各パートが絡み合う…

「キッチンぶたぶた」矢崎存美(光文社文庫)

病弱な高校3年制の由良。 入退院を繰り返す彼女は、病院を抜け出し、ある洋食店に迷いこむのだが。 ぶたぶたさんシリーズの作品です。 山崎さんは、心優しい中年男性。 ただし見た目はブタのぬいぐるみ。 もちろん全編ファンタジー。 ハートウォーミングス…

「唇に小さな春を」稲葉真弓(小学館文庫)

田んぼのあぜに足を取られそうになりながら、ともかく走る。 ばあちゃんが死んだという電話があったのは、ちょうど小学校から帰ったとき。 家を出る前、台所のテーブルにあったのをとっさにズボンのポケットに入れたのは・・・。 色に関わるお話が詰まってい…

「空の中」有川浩(角川文庫)

新型国産ジェット機のテスト飛行で、高度2万メートルにおいて謎の爆発事故が起きた。 同じ空域で、自衛隊機も一機が爆発。 その空域には、謎の生命体が大きな身体を横たえていることがわかるのだが。 面白いです! そのままハリウッドの映画になりそうな感…

「十二人の手紙」井上ひさし(中公文庫)

東北から上京した幸子。 若い社長が経営する商事会社に勤めるのだが。 13編からなる短編集です。 地の文は全くなく、すべては手紙や通知文といったものから成り立っています。 つまり、誰かが誰かに当てた文書。 手紙だけで、物語が進んでいきます。 また…