「ファースト・プライオリティー」山本文緒（角川文庫）

　仕事は面白い。
　でも、人と関わることに億劫さを感じている。
　「なじめなさ」は年々大きくなってきている。

　三十一歳の女性をめぐる短編集。
　三十一編が収められています。
　もちろん一編一編は短く、約８ページ。
　するする読めるのですが、澱が溜まるようにココロに引っかかり続けます。

　三十一歳というと、自分のスタイルなどが、確立されてくる頃でしょうか。
　就職して１０年ほどにもなろうというとき、会社での立場。
　若くはない年齢に達して、社会での立場。
　結婚や家族との身の置き方。

　決めなければならないこと。
　その年なりにしておかなければならないこと。
　あると思います。
　でも、運や家族も含めての健康などが大きく運命を左右します。
　「不慮の」とか「不意の」という言葉で表されることも、多々起きがち。

　この作品に出てくるのは、心は病み気味。
　疲れてはいるけど、どうやら至って体は丈夫そう。
　そんな女性ばかり。

　すごく共感できるキャラもいれば、そうでないキャラも。
　ますますもって、女性は謎、といったところでしょうか。
　とはいえ、男女とも悩みはつきません。