Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「甘い罠」江國香織 他(文春文庫)

 関谷くんとは、二十数年前の大学を卒業する直前、半年ほどつきあっていた。
 小説家の私が今も「好き」なのは、編集者となった関谷くんで・・・。

 8人の女性作家が認めた、8篇の短編小説。
 アンソロジーです。
 現代を代表する、人気の女性作家ばかり。
 テーマは「女性の業」だそうです。


 カバーには「甘く怖く、濃密すぎて苦しくなるような」とあります。
 そうなんですね。
 確かに濃い目のお話が詰め込まれていますが。
 当然に女性視点なわけです。

 さて、冒頭は、川上弘美さんの作品のものです。
 ぼくも大学を出てからずいぶんと時間が経ちつつあります。
 気がつくと、もうこんなに時間が経っていたのか、と。
 確かに、あそこもここも、人生のステージと曲がり角を通りすぎてしまっているのです。
 でも、さほど成長していません。

 川上作品の「関谷くん」は、どうにもつかみどころがないというか。
 今なら「草食系」などと呼ばれるのかもしれません。
 作品中では「隔靴掻痒男」と評されています。
 なんと、身に覚えがあります。

 「magoくんって、据え膳も食わないでしょ?」
 ぼくにそんなことをいう女性がいました。
 「お膳を据えさせるようなことはしないようにしているけど」
 その人はため息をついていましたっけ。
 そんなあんなを思い出しました。

 男性と女性では、ぜんぜん違う感想を持たれるかもしれません。
 ぼくは、これがどうしてアンソロジーとしてまとまっているのかがわかりませんでした。