「空白の実験室 渡辺淳一メディカル・セレクションⅡ」渡辺淳一（中公文庫）

　教授と助教授がたてつづけに白血病に罹患し、この世を去った。
　大学病院研究室の人事に様々な思惑が飛び交うが。

　Ⅰと比べると、ちょっと時代が進んだのでしょうか。
　比較的読みやすくなります。
　戦後色濃い時代背景から、現代に通じる世界に舞台を移しています。
　題材も、放射線障害、出生前診断、子の血液型、脳死、美容整形と、今も話題のジャンル。
　かなりの先取りだったのでしょうね。

　でも、動機は性愛。
　絡むのは男女。
　情熱的です。

　医学は進歩します。
　技術も向上します。
　社会の仕組みも複雑化します。
　でも、男女の間は同じ。
　複雑な間柄は、複雑なまま。
　情熱的な人は、情熱的な人。
　不倫は、不倫。

　でも、身持ちは昔よりも悪くなっているような・・・。
　そうでもないのかな。
　表に出ていなかっただけで。