Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「食堂かたつむり」小川糸(ポプラ文庫)

 倫子は同棲していたインド人にすべてを持ち逃げされ、失声症に。
 失意のうちに故郷に帰るが、一日一組だけをもてなす食堂を始めたところ・・・。

 なんでしょう、この生々しさは。
 なんでしょう、この禍々しさは。
 生きること。
 食べること。
 欲望と執着。

 生と死。
 性と生。
 食と生。
 どこも切って離すことのできない、自然の摂理ではあります。
 匂い立つような作品です。

 ただ、食べ物に関する記述は、生々しいのですが。
 地理的な設定が、いまいちはっきりしません。
 バンジージャンプが谷にかかり、冬季は人を拒む雪深さ。
 海までは買い出しにいける距離で、高原。
 広葉樹が多いようなので、さほど高地ではないようなのですが・・・。
 よくわかりません。
 どうもぴったりした絵が思い浮かびません。

 映画にもなった作品ですよね。
 これをどう映画に仕上げたのかが疑問です。
 単に失声症若い女性が、かわいい食堂を田舎で開いて客を癒す物語だったら、全く筋違い。
 映画も観なくちゃ。