Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「隣の女」向田邦子(文春文庫)

 サチ子は、ごく平凡な主婦。
 アパートの隣の部屋に住む女と、通ってくる男の会話を聞いて・・・

 昭和55年から昭和56年にかけての作品です。
 5編の小品が、文庫本には収められています。

 家族関係も、恋人との関係も。
 友人との関係も、会社での付き合いも。
 とにかく濃厚です。
 こんなに濃い付き合いが、一般的な状況だったのかと思うくらい。

 そして、みんながオトナ。
 登場人物もなんだかある意味落ち着いていて、でも感情突き動かされて。
 やはり、今よりも、普通に「適齢期」といわれる年齢層が低いからでしょうか。
 もちろん、「適齢期」は、事実上の死語になって久しいのですが。

 なんだか、ドロドロ。
 帰ってくるか、どう思っているのか。
 どこにいるのか、何をしているのか。
 情念渦巻く世界。
 そして、地球は広かった。
 急激に狭くなりつつある時代だったのでしょうが、それでも広かった。

 何がこうも社会を変えてしまったのでしょう。
 人間の本質なんてさほど変わらないと思うのに。