Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「リピート」乾くるみ(文春文庫)

 圭介は卒業を控えた大学生。
 突然、約10か月前にもどることができるという誘いの電話を受けるのだが。

 タイムスリップを題材とする作品です。
 でも、タイムスリップするのは精神だけ。
 心が10か月前の自分の体に入り込みます。
 残った方の体がどうなるのか気になるのですが、それは描かれていません。

 戻れるのも10か月と少しという、とんでもなく中途半端な長さ。
 でも、この長さこそがこの物語のキーなのですね。

 物語が始まって、最初のタイムスリップまでが、かなりのページを割いて描かれます。
 ちょっと心配するほどの描きようなのですが。
 ここに散りばめられる伏線の数々。

 で、緊迫の展開。
 ある意味あっけないほどの物語の幕切れ。
 すごい!

 もうちょっと切なかったりする内容なのかと思えば、さにあらず。

 結局、この主人公。
 結構悪いヤツなんですよね。
 いくらはずみとはいえ、ちょっと・・・。
 タイムトラベラーはそのあたりに無頓着になっちゃうのでしょうか。
 と、物語の核心、ネタバレになると困るので、このあたりで。

 解説では、小説に限らずゲーム、映画にわたって、タイムトラベル作品が色々紹介されています。
 観ていない映画や読んでいない小説もたくさんあるので、次の参考になりそうです。