Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「プラネタリウム」梨屋アリエ(講談社文庫)

 「付き合っている」つもりもない相手から、突然別れを切り出されて、困惑。
 「ちょっとそこまで付き合ってよ。」
 そんな物言いで、あらぬ誤解を周囲に振りまく中学3年生、美野里
 実は恋をしたことがない彼女が、恋の味にあこがれるのは。

 4編の短編からなる作品集です。
 少しだけ、それぞれのお話がかかわっている部分もあり、連作といえなくもありません。

 ごく普通の恋愛小説とは違います。
 みずみずしい中学生の恋を扱う「あおぞらフレーク」に始まり、全作品、どこか現実とは異なるファンタジー的要素が織り込まれています。

 恋心が結晶化する「あおぞらフレーク」。
 背に翼を持つ少年が主人公の「飛べない翼」。
 普段から15cm浮いている高校生が描かれる「水に棲む」。
 友達が樹木化する「つきのこども」。

 一般の認識として、ファンタジーは、お子様向けでしょうか。
 文体もやさしく、児童文学、ジュニア小説のようにも見えるのですが、どこか骨のある作品たちです。
 ファンタジーといえば、ファンタジー
 でも、ファンタジーというジャンルで人くくりにするのはもったいない。
 どちらかといえば、「不条理」ともいえる設定。
 特に「飛べない翼」は、一歩前へ出ているような、面白い作品です。

 初めて読んだ、この著者の作品です。
 ちょっと気に入っちゃいました。
 他の作品、見かけたらまた買うと思います。