Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「ドラママチ」角田光代(文春文庫)

 6年のつきあい。
 同棲相手に騙されるように連れて行かれたのは、彼の実家だった。

 「ドラママチ」。
 不思議な語感のこの言葉は、ドラマティックな展開を待つ状態を指しているようです。
 8編からなる短編集。
 「コドモマチ」「ヤルキマチ」「ワタシマチ」「ツウカマチ」
 「ゴールマチ」「ドラママチ」「ワカレマチ」「ショウカマチ」
 どれも何かを待つ女性の話です。
 各話のつながりはありませんが、共通するのは待つという状態。
 希望と焦燥、怠惰、惰性。

 宮脇俊三は、人生は待つということで消化されると書いていました。
 希望を託して、来るべき日を待つ。
 それまでの時間は費やされる。
 イベントからイベントへと、待つ時間というものが人生を構成しているのだと。

 来るべき日に備えて、しておくべき準備もあるでしょう。
 待つだけではやって来ないこともあるでしょう。
 イベントを引き寄せる努力も必要でしょう。
 でも、待つということは時間が過ぎるということ。
 だんだん首が絞まったり、取り返しがつかなくなったり。
 反対に、休息、充電が必要な時間もあるでしょう。

 結局、判断して、とるべき道を進まなければならないんですよね。

 何だかちょっと重たい。
 ちょっとしんどい女性たちの物語。
 梅雨空の下で読むにはいいのかもしれません。