Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「かつどん協議会」原宏一(集英社文庫)

 かつどんにとって最も重要なものは?
 各具材卸の代表たちが、その座をめぐり熾烈な争いを繰り広げる。

 いわゆる針小棒大型小説(勝手に命名しました。)です。
 なんでもないことを、いかに真面目に繰り広げるか。
 笑いというか、苦笑を誘う作品です。

 全部で3つの中編が収められています。
 表題作の他、「くじびき翁」「メンツ立てゲーム」。

 「くじびき翁」は誰からも相手にされない政治マニアのおじいさんが唱える政策決定法を描く作品。
 多数決を前提とした現在の民主主義といわれる社会に一石を投じます。
 もちろんこれも荒唐無稽のおとぎ話です。
 でも読み進めていくうちに、なんだか、本当に説得されていく自分にオドロキました。

 「メンツ立てゲーム」も謝罪士という架空(?)の商売を描きます。
 この文章を書いていて、「もしかして実在するかも」と思って「(?)」を書き足した次第です。

 表題作よりも、あとの2編が断然面白い。
 ただ、文庫本の表題には向きませんね。
 題名をつけるのって難しいです。

 毒にも薬にもなりませんが、そんな本をお捜しのあなたに。
 ナンセンスが好きなら、オススメ!