Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「あなたに、大切な香りの記憶はありますか?」阿川佐和子ほか(文春文庫)

 三十五歳、独身の季理子。
 旧友と共に、海外へ旅立つ礼司を送り出す会を催すのだが。

 「香り」をテーマにした短編集、アンソロジーです。
 全部で8編。
 いつものとおり、作家さんのお名前を上げておきます。
 これ、収録順です。
 なぜそんなことをいうかというと、表紙には五十音順で表示されているからです。
 五十音順でも、最後のかたは高樹のぶ子さん。
 なんだか五十音順で、早い方ばかりが収録されているんですね。
 たまたまでしょうか。
 それとも、こういうジャンルの作家さんは、五十音順で早いほうが有利だとか。
 いえ、邪推ですね。

 さて、ぼくは鼻が悪いのです。
 ほとんど嗅覚障害といってもいいかも。
 というか、年中半分鼻づまり状態なのです。
 ですから、香りといえば、カレーなどのスパイスか、コーヒーなど。
 憧れともいえますね。

 港で干されている網のにおい。
 放射冷却の夜に、田んぼからあがる蒸気のにおい。
 初夏に雨が降り始めた時の、アスファルトのにおい。
 晩秋の野焼きのにおい。
 風物詩と結びついたにおいの記憶は、ぼくにだってもちろんあります。

 初めてストーブを出した時の、灯油のにおい。
 スキーバスが夜中にSAに停車した時の、軽油のにおい。
 バイクの暖機運転の時の、ガソリンのにおい。
 石油系のにおいでも、季節と結びつけば、懐かしい感じもします。
 とても香りとは呼べませんが。

 記憶とにおい。
 父のにおい。
 おばあちゃんのうちのにおい。
 ノスタルジー

 朱川湊人さんの「いちば童子」、気に入りました。