Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「僕は運動おんち」枡野浩一(集英社文庫)

 高校生の勝は運動音痴で、あだ名は「うんちゃん」。
 柔道部の宇佐田くんとは大の仲良しなのだが、彼は詩人でもあった。

 20世紀末の青春群像。
 元はケータイ小説だったものを、再編成して、文庫化したものです。

 ケータイ小説なのに、ケータイのない時代設定。
 ケータイはセイシュンの有り様に、大きな影響を及ぼしているのですね。
 もちろん、ぼくは、あこがれの女子の家に電話して、ドキドキした世代。
 メールなんてものももちろん、ポケベルだって、ありませんでした。
 あの距離感、そしてコミュニケーションが今のぼくという人間を作っていると思います。
 もちろん、ケータイなんてないほうがいい、といっているわけではありません。
 便利さの代わりに失ったドキドキがある、といいたいだけ。
 つまり、おっさんのノスタルジー

 で、おっさんのノスタルジーを刺激するのが、本作。
 設置されて数年の高校。
 運動音痴の主人公。
 スポーツに対する穿った見方。
 そして、同じ高校に入学してきて、ウワサになるほど可愛い妹。
 あれ?
 とても他人ごととは思えないような。
 あそこは大きくありませんが。

 登場人物は、少々昔を舞台にしていることもあってか、みんな極端に奥手です。
 「女の子には興味ない」といって、宇佐田くんを凍りつかせる主人公。
 煮え切らない宇佐田くん。
 しかも、ポエマーだし・・・。
 いくらなんでも、これはないでしょう。
 中学生ならわかるんだけどなぁ。
 今風にいえば、厨二病

 でも、急に水泳部に入ってみたり。
 文化祭で頑張ってみたり。
 いい感じ。

 高校時代も遠くなったものです。
 ふぅ。