Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「親指Pの修行時代」松浦理英子(河出文庫)

 ある日目覚めると、右足の親指がペニスになっていた。

 ひとことでいうと、「延々とシゴきたおしたあとの、寸止め放置プレイ」。
 こんなコト書いて、変な記事をのせているブログとしてチェックされないか不安です。

 足の親指がペニスになっていたという20代の女性の物語です。
 書かれたのは20年ほど前。
 当時はセンセーショナルな内容だったのでしょう。
 著者の松浦理英子さんも、写真で見るときれいな方です。
 こんな綺麗な人が、こんな物語を・・・と、当時の人は驚きを持って迎えたに違いありません。

 さて、このP(と、作中で表現されます)。
 もちろん排泄はせず、実は射精もしないのですが、勃起し、快感をもたらし、絶頂を迎えます。
 また、自分で舐められるけど、自分自身には挿入できないという絶妙な位置設定。
 あ、このあたりで嫌気がさす方は、この物語は読まないほうがいいです。

 作品はロードムービーのような作り。
 自主性がない、流される女の典型のような主人公。
 どんどん流されて、あらぬ方向へ。

 そのたびに物語の主軸が変わります。
 上下巻の2冊組なのですが、それでも内容が描ききれていないような。
 次々に変わるテーマも、そこそこヘビーだったりするのです。

 性差であったり。
 人間性であったり。
 恋愛であったり。
 愛情であったり。
 極端なキャラも多数登場します。

 今流(?)のコトバで言えば、どこか「やおい」に通じるものがあります。
 多少のヤマと大いなる意味はあるのでしょうが、オチがありません。
 これは、あとがきによれば、わざと狙ってのことだそうで。
 趣味悪いぜ!
 悶々。

 物語の着想は、大学生だったある日見た夢だとか。
 なんて夢をみる女子大生でしょう。
 もしかすると偉大な腐女子の大妄想物語なのかも。
 いえ、褒めています。