Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「季節風 春」重松清(文春文庫)

 娘の初節句に贈られた、七段飾りのお雛様。
 別れの時が近づいた古びた粗末なお雛様には、わたしの幼時の記憶が染み付いているのだった。

 いつの頃から、真っ向勝負が恥ずかしくなったのでしょう。
 どうして、純粋なものに対して照れるのでしょう。
 「クサい」なんていう、形容詞。
 実はあこがれと表裏一体なのに。

 見事に重松節です。
 クサいといえば、クサい。
 でも、これをクサいと一蹴するような人間にはなりたくない。
 そんな気がしました。

 別れの12編。
 短編集です。

 照れずに、向きあう。
 そんなことも必要だと思います。