Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「バイブを買いに」夏石鈴子(角川文庫)

 むぅちゃんと同棲する「わたし」。
 わたしにとってのハッピーとは。
 むぅちゃんはわたしに、バイブを買ってくるようにいうのだった。

 バイブですか・・・。
 ロリベザブラは、常備しています。
 って、そんなハナシではありませんね。

 もちろん、女性に用いるアレです。
 ぼくは買ったことも買わせたことも、使ったこともありません。
 もしかして、人生において何か重大な損をしているのかも!?
 なんて思ったりします。

 先だって読んだ「愛情日誌」がなんだか、肩の力が抜けていい感じだったので、この作者の代表作を買ってみました。

 かなり直截的な表現が登場する作品です。
 なんといってもインパクトがあるのはこの題名。
 「バイブを買いに」です。
 よくつけたと思います。

 表現は直接的なのですが、内容はいたって恋愛がテーマなのですね。
 とにかく、女性視点で恋愛、そして性愛について一人称で綴られます。
 短編の体裁で8編が収められています。
 とはいっても、後半は続き物。
 恋愛、セックスから、堕胎、出産と、女性の愛と性にまつわるお話が流れていきます。
 これがなんだか、時系列というか、追体験というか。
 リアルに、自分の横で起こっているような気がするんですね。

 ちょっとダメな生活をしてみたり。
 ちょっとダメな男に引っかかってみたり。
 あぁ、そういうことなのかな、と、男のぼくは思うわけです。

 人間の三大欲求である食欲、睡眠欲、そして性欲。
 このなかで、「満たさなければ死んでしまう」というわけでもないのが、唯一、性欲なんですね。
 してもしなくてもいいモノ。
 でも、人間が生物たる根源。
 そうした欲求が人間性の上に昇華した、愛。
 いっしょにすごすということ、肌を合わせるということについて、考えさせられました。

 わたしはプラトニック・ラブなんて信じない。心だけが清いわけじゃない。わたしの体は別に汚れていない。好きな男のハートと体を正しく味わってこそすべてが始まるのだし、わたしのハートと体も同じように扱える男でなければつまらない。
 なるほどねぇ。
 そういう考えもあるんですね。
 欲求にストレート。
 正直であること。
 なんだかうらやましくなりました。

 ぼくはいろいろな面で、素直じゃないんだと思います。
 反省。