Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「借金取りの王子」垣根涼介(新潮文庫)

 消費者金融大手のリストラを請け負った真介。
 ぎりぎり及第点で低空飛行を続ける店長は、リストラに抵抗を続けるのだが。

 「君たちに明日はない」の第2弾、続編です。
 短編集の形をとりながらも、一本筋が通った連作です。

 リアルタイムに書かないもので、ネタがたまってしまっています。
 そうこうしているうちに、この作品。
 ドラマが始まっちゃいましたね。
 主演は坂口憲二さんだそうで。
 もっとヤワで線が細い感じの人物をイメージしていたのですが・・・。

 前作を読んでから時間がたっていたので、いろいろ忘れておりまして。
 陽子との間柄がわからなくなっていました。
 ある意味、キーです。
 二人の間柄が、人間のありよう、未来というものを考えさせてくれます。
 リストラという、人の未来を扱う仕事。
 この作品のテーマでしょうか、未来をあぶり出すのに一役買っています。

 前作よりも、なお人間物語、未来についてを描いています。
 能力のある人ほど、あっさり辞めようとしたり。
 辞めてから、すがすがしい未来を手に入れる人がいたり。
 リストラって、がんばって残っても、立場がないでしょうから。

 痛快さは、前作よりもなりを潜めています。
 でも、ハートウォーム。
 都会だけではない、生活そのものを感じさせます。

 仕事以外のチャネル。
 人のつながりって、大事ですよね。