Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「ごきげんな裏階段」佐藤多佳子(新潮文庫)

 みつばコーポラスには、ひっそりとした裏階段がある。
 学は裏階段で子猫を拾って帰るのだが、コーポはペット禁止だ。
 奇妙なことに、子猫の好物はタマネギ!

 児童文学作品です。
 しかも、ファンタジー
 連作の3編のお話が収められています。

 別に、ファンタジーづいているわけではありません。
 「しゃべれども しゃべれども」がとても面白かったので、新作を買ってみただけなんですよ。

 舞台はコーポの裏階段。
 ひとけがなくて、ちょっと不思議な空間です。
 そういえば、子どものころはそんな空間ってありました。
 小学校の体育館の裏。
 古いテレビがつんであったり、汚くなった理科の実験器具が置いてあったり。
 男女数人で集まって、こっくりさんをしてみたり、初めて恋バナを繰り広げたりした空間。

 子どもは、そんな空間に臆することなく入り込みます。
 物語では、そんな空間に生息する不思議なキャラクタたちとの出会いがあります。
 もちろん夢物語といえば、夢物語。
 でも、忘れてしまっていた「遊びの時間」を思い出しました。

 大人の時間の使いかたって、寂しいのかもしれません。
 時代設定は現代なのですが、不思議と懐かしい物語。
 忙しい大人へ。