Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「ロマンス小説の七日間」三浦しをん(角川文庫)

 あかりはロマンス小説の翻訳家、28歳。
 同棲中のカレシ神名が、突然会社をやめて帰宅した。
 動揺するあかりは、翻訳中の作品を勝手に妄想、捏造し、物語はあらぬほうへと展開を見せるのだが。

 ぼくは、ロマンス小説というものを、読んだことがありません。
 ハーレクインとか、そういうの、ですよね。
 というくらいの認識しかありません。

 ロマンス小説中の、中世ヨーロッパと、翻訳家あかりの周辺、現在の日本が描かれます。
 それも交互に。
 唐突にヨーロッパの城に暮らす、お姫様から始まるので、少々面食らいました。
 もちろん、あかりはロマンス小説の内容を知っている、というか執筆しているのですが、ヨーロッパの騎士たちやお姫様は、現代日本のことは知りません。

 騎士たちは、あかりの理想なのかもしれません。
 けっこう、夢見がちなようでいて、リアリティを望んでしまうあかり。
 地に足着かない彼に幻滅や当惑しながらも、どこかで憧れているのでしょう。
 そして、憧れはリアリティという基準に淘汰され、彼女は逡巡しているのかもしれません。

 騎士が現代日本にやってきたり、あかりが中世ヨーロッパに行ったりはしません。
 そこのところをお間違えのないように。
 この作品、そこまでファンタジーではありません。

 女性が求める「男性」とは何でしょうね。
 そんなことを考えてしまいました。

 そうそう、帯にも書いてあるのですが、映像化すると楽しそうです。
 うまくいけば、洋画と邦画のいいとこ取りの作品が出来上がりそうです。
 うまくいかなければ、箸にも棒にもかからない作品ができることでしょう。

 ラブコメは好きなので、もしかするとロマンス小説にもハマるのかも。
 いえ、そうならないように、近づかないことにします。