Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「草原からの使者 沙高樓綺譚」浅田次郎(徳間文庫)

 語られる方は誇張や飾りを申されますな。
 お聞きになった方は、夢にも他言なさいますな。
 あるべきようを語り、巌のように胸に蔵うことが、この会合の掟なのです。

 青山墓地を見下ろす、高層ビルのペントハウス
 各界の名士が集い、決して語ることができなかった体験を披露する。

 一般人が目にすることのないような場所で、名士が集います。
 幾多の苦難を乗り越えてきた強者ばかり。
 彼らが生涯の想い出に、たった一度だけその体験を語る場が催されています。
 数奇な運命や、驚くべき体験談。
 実際にこういう会合が行われているのかもしれません。

 本書にはそんな体験談が4編納められています。
 「宰相の器」
 「終身名誉会員」
 「草原からの使者」
 「星条旗よ永遠なれ」
 どれも毛色の違った物語。
 著者がその場で話を聞いているという設定でしょうか。
 ぐいと引き込まれる浅田調で、語られます。

 どれも、さもありなん。
 でも、霞上の語り。
 ミステリーともオカルトとも、コメディとも違う。
 不思議なテイストの作品です。

 この作品は前作「沙高樓綺譚」の続編として作られたようです。
 ぼくは「沙高樓綺譚」をまだ読んでいません。
 これは読まなくては!