Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「君たちに明日はない」垣根涼介(新潮文庫)

 村上真介は、リストラ請負会社の社員。
 クライアントの会社に乗り込んで、対象者の面接を行うのが仕事。
 恨まれ、泣きつかれするこの仕事に、疑問を感じながらもやりがいを感じているのだが・・・。

 スゴイ職業があったものです。
 首切り面接官。
 これだけ「リストラ」という言葉が聞かれるのですから、実際に需要はありそうです。
 需要があれば、当然商売も成り立つのでしょう。

 おそらくは絵空事ではなく、実際にある話。
 かなりリアルです。
 いかにもやりとりされていそうな会話。
 面接のレトリック。
 面白いです。

 主人公も仕事の内容に疑問とやりがいの両方、そして、責任を感じています。
 それがまた、リアル。

 長編のような、連作短編集のような。
 節ごとに、視点が違えて描かれます。
 つまり、クビを切る側の理論と、クビを切られる側の理論の両方が描かれるのです。
 そして、単にリストラをめぐるやりとりを描く企業小説ではありません。
 描かれるのはハート。
 ヒューマンドラマが主題です。

 いかにもいそうな汚いオッサンのクビを切ったり。
 オタクな開発部員とのやりとり。
 面接対象の女性と恋仲に落ちたり。
 一編一編がスッキリ終わるのに、物語は前へと進んでいきます。
 次々読みたくなる面白さです。
 幸い続編が出ているようで。

 重松ファンや浅田次郎ファンは、お気に召すと思われます。
 見かけたら手に取ってみてください。
 大大大オススメ(当社比)。

購入や他の方のコメントはこちら
http://store.shopping.yahoo.co.jp/7andy/31934045.html