Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「失格社員」江上剛(新潮文庫)

 四社会は、大手ゼネコンで作る由緒ある談合組織。
 法改正により、会は窮地に追い込まれているのだが、どの社も脱退を言い出せないでいる。
 大正建設の田中は、自分の家庭を顧みつつも会の解体を画策するのだが・・・。

 ユーモア小説、コメディだったんですね。
 最近その手の小説を読んでいなかったもので、軽妙洒脱な内容についていけませんでした。
 ちょっともったいないことをしました。

 書店でかなりたくさん平積みになっているこの本。
 購入された方も多いことでしょう。
 ぼくはこのかたの作品を初めて読みました。

 とってもリアルでいて、とっても遠いハナシのよう。
 いかにも、な会社の、いかにも、なシステムにのっとり書かれているのですね。
 いわゆる都心のオフィスビルに勤めるサラリーマン。
 上を目指し、ノルマに縛られ、あれこれ日々画策する姿が描かれています。
 ぼくのような地方都市の片隅で生きる人間には、あまり縁のない世界です。

 モーゼの十戒に倣って、10編の短編からなります。
 短編集ですから、どれもすぐに読めます。
 さほど深すぎず、キレがいい感じ。
 エンディングも溜飲を下すものから、後味の悪~いものまで。
 実際の生活は、幕切れなんてないので、このあと大変なんだろうなぁ、と。

 通勤電車で読むにはいいかも。
 ぼくは電車通勤ではありませんが・・・。
 サラリーマン、それも、銀行員のかたや中央省庁にお勤めのかたにオススメ。