Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「あの空をおぼえてる」を観ました

■劇場

 岐阜の片田舎で、写真館を営む、夫婦と子どもふたりの一家4人。
 子どもたちだけで買い物に出かけるが、交通事故に遭う。

 泣きました。
 卑怯です、この脚本。
 泣くようにできています。
 だって、かわいい娘が死んじゃうんです。

 冒頭から臨死体験
 フラッシュバックで織り込まれる、楽しかった家族の日々。
 対比する、沈み込んだ家庭。

 時間が経つにつれ、スクリーンに映る時間が少なくなっていく娘の様子。
 家族それぞれの心の中で、娘(妹)への思いが昇華されていく様が鮮やかです。
 はかなさや切なさ、もろさの上に成り立つ家族の幸せ。

 それを踏みにじった事故。
 写真館で嗚咽する竹野内豊と、エンディングはたまりません。

 交通事故や犯罪って、一方的なんですよね。
 被害者は一生傷を背負って生きていくのに、ともすれば加害者は喪も開けぬうちから酒を飲んで、
「この間、クルマでこどもはねちゃってよ~。」
「え~、お祓い行かなきゃな。」
 なんていう残酷なことも、ないとも限らない。

 ぼくは子どもを持って、ひしひしと感じます。
 かなりの親不孝者だったと。
 ぼく自身が交通事故で、かなり危ないところまで行きました。
 両親はどんな思いだったでしょう。
 そして、ぼくをはねた運転手は、ぼくのことを覚えているでしょうか。
 ぼくが腰痛に悩まされたり、足を引きずることがあることを、思うことがあるでしょうか。

 ちょっと話題が逸れました。
 親しい人の死を昇華するということは、たやすいことではありません。
 亡くなった人の穴を埋めるのは、想い出なのでしょうか、それとも時間でしょうか。
 この映画では、生まれてくる命に、みんなの思いが託されます。

 美しい風景に、かわいい子どもたち。
 時間を切り取ってみせる、写真というものの位置づけ。
 穏やかな音楽、淡々と描かれる映像。
 ファンタジーのような雰囲気の、柔らかなストーリー。

 泣きたい人に(ただし、ヒネクレた人はダメですよ)。
 オススメ!