Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「人のセックスを笑うな」山崎ナオコーラ(河出文庫)

 美術専門学校の生徒、19歳のオレ。
 39歳の講師、ユリと過ごす日々。

 マージンや行間の大きい、間合いをもった印刷で出版されています。
 とつとつとした、空気を伝えるタイプの文章にはぴったりです。
 主人公、磯貝みるめの一人称で、物語は進みます。

 言葉少なな、ともすれば寡黙ともいえる、この年齢層の少年の心を、言葉で紡ぐのは難しいでしょう。
 それをこの作品はやってのけています。
 寡黙な画学生の雰囲気を伝えることに、成功しているのです。
 不安定な、先の見えない怠惰な雰囲気。
 現代の都会の一隅でおこった、すれ違いの空気、を感じさせます。

 それにしても、どきっとする題名ですよね。
 不安定さ、カッチョ悪さ。
 人間ですから。
 生きていますから。
 賛同できるかどうかは、別の話。

 映画にもなっていましたね、この作品。
 39歳の講師、ユリを永作博美が演じているんですね。
 コレを知っていて読み始めたので、ちょっと違和感。
 永作博美はとても年相応といえる容姿ではありませんが、小説の作中では、ユリは年相応の容姿とふてぶてしさを身につけています。
 これは映画がどうなっているのか、気になるところ。

 気軽に読もうと思えば、気軽に読めてしまう。
 深く読み込めば、何かつかめるモノもありそう。
 おそらく読者によって、受け取りかたはかなり違うはず。
 普段小説を読まないようなかたにも、オススメ!