Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「アルゼンチンババア」よしもとばなな(幻冬舎文庫)

 みつこは18歳の時に母を亡くしている。
 街はずれの廃墟のようなビルに住む、魔女のような女、アルゼンチンババア
 みつこは、父がアルゼンチンババアとつきあっているというウワサを耳にする。

 読書って、アタマのなかでいろいろイメージをふくらませますよね。
 このふくらませたイメージが、大きく食い違ったりするので、小説を原作とした映画は面白くないことがあるんだと思います。
 もちろん、原因はこればかりではないのですが、原因のひとつではあるわけです。

 このよしもとばななの代表作は、奈良美智の絵が表紙を飾っています。
 例の強烈なキャラクタが虚空を見つめています。
 ちょっと知人に似ているような気もしますが・・・。

 この奈良美智による挿絵(?)が巻末にまとめられています。
 あぁ、奈良美智はこの作品をこういう風に読んだのか。
 この絵が作中に挿入されていなくてよかったと思いました。

 さて、作中の主人公のお父さんは、石工です。
 連れあいを亡くすまで、職人としての仕事に打ち込んできました。
 衆人のなかや、連れあいを亡くして急に放り出された人生のステージで、身の置き場を探しあぐねているようです。
 いわば迷い人。

 一方、世捨て人のような生活を送るアルゼンチンババア
 世捨て人と世迷い人は互いにひかれあうのでしょうか。
 安住の地は、一方的なものなのでしょうか。

 なんだかシュール。