Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「リアル・ユートピア~無間の物語」展に行きました

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 昨日に続いて、金沢21世紀美術館の企画展です。

 もうひとつどういう趣旨か分かりかねる企画展です。
 主に彫刻に分類される作品が大多数を占めます。

 なんだか映画のセットのような、くらげが女性の形に変貌しようとしているような作品。
 空間の広がりというものを、完全に錯覚させてくれるドットの部屋。
 永遠に上下につながった、闇に浮かぶ光の縄ばしご。
 なんだか暴力的な「時」を感じさせるペインティング。
 どうやら「無限」がテーマのようではあります。
 なかなかインパクトのある作品が多く、ペインティングはおとなしい感じがします。

 さて、この作品群のなかでもっとも出品数が多く、興味をそそられたのが木村太陽という作家さん。
 ポスターやチケットの、サッカーボールの赤ん坊「はたらけはたらけ」の作者です。
 かわいい作品も、ちらほら。
 「あぁ、これやってみたかったんだよ!」という作品も・・・。
 600体の鳩は、これまでにどこかで観たことがあるような・・・。

 常設展を見て回っているとき、パーティションの向こうで大爆笑が響き渡っていました。
 もしかして、大爆笑の音響を用いる作品なのかと思ったら、そうではありませんでした。
 わざわざ見難いように、壁に向けて高めに設置されたビデオディスプレイ。
 ディスプレイにはなぜかティッシュやトイレットペーパーが多数くくりつけられています。
 そのディスプレイと壁の隙間に、ぎゅうぎゅう!
 入れるだけのニンゲンが詰まって、顔を引きつらせて笑っているではありませんか。
 ディスプレイには、作者本人と思われる人物のパフォーマンスが映し出されているのです。
 ビデオのネタをここで書いてしまうのは、もしかすると著作権の侵害にあたるかもしれないので、パンフレットに書かれたネタのみを。
 おもむろに出てきた男(木村太陽氏?)は、目の前のおいしそうなカレーライスで洗顔・・・。

 他にも、ビデオを使った作品がありました。
 なんだか小汚い洗濯物の隙間にディスプレイ。
 上から覗き込むと、男が延々と口からものを取り出すビデオが流れています。
 思わずぼくの同行者が「うわ!気持ち悪~。」というと、他の観覧者が大爆笑。

 そうです。
 わざと見にくい位置に設置されたディスプレイ。
 覗き込んだり、隙間にぎゅうぎゅうに詰まってみているニンゲンも作品の一部なんですね。
 観る人がいてできあがる作品の典型です。

 観て笑っていた人も、次の瞬間には笑われる側に。
 もちろん、ここでその流れにあらがうのは野暮ってもんです。

 「踊る阿呆に観る阿呆。同じ阿呆なら・・・」
 なんていう唄のフレーズが頭をよぎります。

 そう、行動作品は参加することに意義?があるのでしょう・・・か?
 ホント?

 この木村太陽さん。
 ぼくと同世代です。
 なんだか共感するおもしろさ。
 ちょっと下品。
 妙な間合い。
 いい作家さんの作品と出会うことができました。
 木村太陽さん、これからワタクシ的には大注目の作家です。