Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「十二人の手紙」井上ひさし(中公文庫)

 東北から上京した幸子。
 若い社長が経営する商事会社に勤めるのだが。

 13編からなる短編集です。
 地の文は全くなく、すべては手紙や通知文といったものから成り立っています。
 つまり、誰かが誰かに当てた文書。
 手紙だけで、物語が進んでいきます。
 また、無機質な行政からの通知文でも、つなぎ合わせれば、こんなにも鮮やかな物語が。

 1から12までの各章は、全くつながりがなく進みます。
 が、最後のエピローグで、登場人物が顔を合わせます。

 井上ひさしの手になる、驚きの作品。
 しかし、楽しくありませんでした。
 なんというか。
 暗い。
 どの章も、暗澹たる気分にさせてくれます。

 芸は光るけど、読者は沈む。
 う~ん。