「シアター！」「シアター！２」有川浩（メディアワークス文庫）

　小劇団「シアターフラッグ」の主宰、春川巧は、劇団のための借金を兄の司に申し込んだ。
　司の出した条件は「２年間で劇団の収益から３００万円を返済しろ」というもの。

　演劇、劇団って独特の世界ですよね。
　ぼくはステージというものが好きなので、演劇も一時期よく足を運んでいました。

　演劇で食べていくって大変ですね。
　音楽のほうが裾野は広く、アマチュアも巾が広いと思います。
　演劇はその分先鋭化し、どっぷりと浸かりきっている印象。
　アマチュアであっても、劇団のほうがバンドよりはお金がかかりそうなのも、容易に想像がつきます。

　さて、物語に出てくるキャラたち。
　みんな、若いんですね。
　２０代から３０代にさしかかったあたり。
　プロを自認しているのですから、みんな劇団中心の生活をしています。
　なんだかイキイキ。
　羨ましい若さが溢れています。

　振り返ってみると、うちのバンドも１８年間よく持ちこたえてきました。
　プロになりたいという意識が殆ど希薄だったのが功を奏したのでしょう。
　うちのバンドは、もちろんアマチュアのまま、現在に至るわけですが。

　シアターフラッグも、恋愛話が内部で生じています。
　うちのバンドも、内部で色恋沙汰が吹き荒れ、いよいよ平均年齢が４０歳にさしかかろうという現在。
　気づけばバンド内は夫婦、兄弟などの、名実ともに家族集団になっていました。
　シアターフラッグはどうなるのでしょう。

　本作品は、３部作の１作目と２作目。
　３作目が気になるところです。
　とにかく楽しい作品。
　オススメ！