Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「制服のころ、君に恋した。」折原みと(講談社文庫)

 主人公奈帆は、28歳の養護教諭
 産休の代務として配属されたのは、自分の母校、鎌倉南高校だった。
 10年前、高校生として過ごした自分に、向き合うことになるのだが。

 巧いですねぇ。
 映画のような、シーンの運び。
 すけるような、透明感のある文章。
 どんどんめくってしまうページ。

 ぐちゃぐちゃしそうな題材を、あっさりと。
 高校時代のめくるめく想い。
 きれいな思い出は、よりきれいに昇華しています。

 ただ、ちょっとあまりに「泣け」というのが、つい・・・。
 いやですねぇ。
 自分がイヤになります。
 こういう、うがった読み方をしてしまう年のとり方をした自分が。

 場所がはっきりと描かれた作品です。
 鎌倉、湘南と呼ばれる地域には行ったことがありません。
 足を運んでみたくなりました。
 そういえば、江ノ電も乗ったことがありません。
 行こうかな。

 安易なファンタジーで終わらないところが、いい感じ。
 ちゃんと帰ってきました。
 純粋に、過去と、そして現在と向き合い、感動したいものです。