Magoの旅と音楽と

旅と音楽について書いています。

「青春夜明け前」重松清(講談社文庫)

 小学校5年生の悪ガキ3人組。
 農作業小屋で情事に耽る若い男女を目にするのだが・・・。

 10代の男子がテーマの短編集です。
 小学5年生から、高校3年生まで。
 全部で7編。
 舞台は本州の西の端の田舎町。
 おそらくは山口県内のどこか。

 性のこと、腕力のこと、進路のこと。
 セキララなナヤミに逡巡し、苦悶する少年たち。
 なぜか巻き起こる、痛い行動。
 何だか懐かしい作品です。

 勘違いやすれ違い。
 ぼくも経験があります。
 アラフォーになって、今頃気付く、あのときの判断ミス。
 でも、あのドキドキ感は、もう今となっては得難いものだと気付きました。

 男女の恋愛。
 男女の性愛。
 たしかにつながっているけど、いまだにつながりがわかりません。

 地方都市出身者で都市生活者は、生活環境をリセットすることで、ひとつの区切りをつけるようです。
 ぼくは故郷を離れようと思ったことがありません。
 多少離れたことがあるのですが。
 都会を夢見たこともありません。
 学校以外で、本当の意味での卒業。
 どんな感じでしょう。

 今、悩んでいる少年。
 昔、悩んでいた中年。
 そんな少年を抱えている、お母さん。
 そんな少年に恋心の、少女。
 そんな少年に迷惑したりしている、お姉さん。
 故郷を離れてきた人。
 そんな人たちに読んでほしいな。

 重松調、全開です。
 そして、なぜか懐かしい作品です。